病院紹介:市立豊中病院について

市立豊中病院広報誌 病院だより No.47(平成30年6月発行)

シリーズ 生活習慣病(1) 糖尿病・メタボ、慢性腎臓病

「生活習慣病」ということばを聞く機会が増えていませんか?「生活習慣の乱れによって引き起こされたり悪化する病気」を意味しますが、生活習慣だけが原因の全てではなく、広く生活習慣と関連が深い疾患も含まれます。糖尿病や高血圧症、心臓病、脳卒中の他に、がんや認知症、運動器(骨、関節、筋肉など)障害が該当します。今回はその中で血管障害に関係する生活習慣病について特集します。

糖尿病は、ライフスタイルの西洋化に伴って患者さんの数は現在もなお増加傾向です。初めは自覚症状が少ないものの、放置すれば確実に全身の血管を障害することで様々な合併症を引き起こします。

慢性腎臓病は文字どおり慢性的に腎臓病が続くことで腎臓の機能が障害される病気の総称です。糖尿病腎症や、動脈硬化が影響する腎硬化症など、背景には塩分・脂質・エネルギーの過剰摂取といった生活習慣の乱れが大きく影響します。

生活習慣病の一番の特徴は、自分自身の気づきと行動で未来を変えることができるということです。この特集を通じてそのお手伝いができればと思います。

糖尿病・メタボリックシンドローム

糖尿病とは

血液の中の糖分(血糖)は脳や神経、筋肉など体中の細胞のエネルギー源として重要ですが、過剰になると全身の血管に悪影響を与えます。血中の糖分は、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンを仲立ちにして筋肉や脂肪に取り込まれますが、このインスリンの働きが不十分であれば血糖値が上昇します。インスリンの作用不足によって起こる慢性的な高血糖状態を糖尿病といいます。

糖尿病にはインスリン分泌が絶対的に欠乏している「1型糖尿病」と、インスリンが分泌されても少なかったり効きが悪かったりする「2型糖尿病」に大きく分けられます。いわゆる生活習慣病とされるのは2型糖尿病で、1型は免疫反応の問題などで発症する糖尿病です(先天性ではありません)。

糖尿病が悪くなると

5年、10年と慢性的に血糖値が高い状態が続くと全身の血管が障害されていきます。細い血管が障害されると、眼底出血、腎不全、神経障害(感覚障害など)の原因となります。大きい血管が障害されると心筋梗塞、脳梗塞といった動脈硬化による重篤な病気を発症することが知られています。高血圧や脂質異常、喫煙などの危険因子が加わると血管はより障害されやすくなります。重症の高血糖では、のどが渇く、水を多く飲む、おしっこの回数が増えるなどの高血糖特有の自覚症状が出ます。しかし通常の2型糖尿病の血糖値では、このような症状が出ないことが多いため、注意が必要です。

糖尿病の管理

糖尿病の管理には適切な食事と運動が欠かせません。早食いや炭水化物・脂質に偏った食事は血糖の急上昇を招きます。ただし無茶な食事制限は長続きせず、逆に悪影響を及ぼすため、個人に合った内容でバランスよく、ゆっくり食事をとることが重要です。また、ウォーキングなどの有酸素運動とストレッチ・筋トレなどのレジスタンス運動を組み合わせることがエネルギーの消費やインスリンの効きを良くする上で有効とされています。また、服薬管理では個人の病状に応じて薬を選択することになります。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームでは、過食・運動不足といった生活の乱れが主な原因で、内臓脂肪が蓄積することがその根源として重要視されています。内臓脂肪から分泌される悪玉ホルモンが増加し、善玉ホルモンは減少するために、高血糖、血圧上昇、脂質異常が同時多発的に起こり、結果として動脈硬化疾患の発症につながる一連の病態です。つまり同じ脂肪でも内臓脂肪は皮下脂肪より血糖、血圧、脂質などへの影響が大きく、動脈硬化に影響する「ホルモン臓器」の側面があります。内臓脂肪が多い人では内臓脂肪を減らすことで、それぞれの病態を一網打尽に改善することが可能です。こちらも適切な食事と運動が重要です。

慢性腎臓病

慢性腎臓病(CKD)とは?

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:略してCKD)は21世紀に入ってから生まれた言葉で、腎疾患の中でも「腎機能が多少落ちてきた状態」または「蛋白尿が増えている状態」の総称です。それらの症状は自分では実感しにくいため、早期発見するには健康診断を受けることがとても重要となります。

慢性腎臓病を放置しておくと、将来腎不全になって透析が必要になる可能性が高まるだけではなく、心臓病や脳卒中の危険性も高まり、死亡率も上がります。従って、腎臓をなるべく悪くならないように保つことが長生きにもつながります。

慢性腎臓病の原因

若い人の慢性腎臓病の原因は慢性腎炎が多く、比較的発症率は低いです。ただ、中高年者になると、糖尿病や高血圧から動脈硬化になって腎機能が低下してくるパターン(糖尿病性腎症や腎硬化症)が増えてきます。これも生活習慣病の一種といえます。

慢性腎臓病と生活習慣

慢性腎臓病の進行予防には生活習慣が密接に関係しています。その中で最も重要なのは食事療法です。食事療法の詳細は省きますが、塩分制限(日本の食生活は平均的に塩分摂りすぎなのでなかなか実行が難しいです)やタンパク制限など、色々なことに気をつけないといけません。慢性腎臓病を指摘されている方は、当院で定期的に開催している慢性腎臓病教室で栄養の話を聞くのも役立ちます。それ以外に、過労を避け十分な睡眠を取ること、禁煙することなども大切です。

透析について

現在日本全国で約33万人の維持透析療法患者がおり、人口比では約400人に1人が透析を受けている計算です。患者さんの数も年々増えており、平成30年春の診療報酬改定でも透析に関する医療費の適正化が進められました。

日本では透析医療費(1人あたり年間500万円ほど)の大部分が公的負担でまかなわれ、患者さんの自己負担はごく少額で済んでいます。しかし、今後の日本の国家財政次第では、自己負担が増加する可能性もありますので、重度化しない生活を送ることが大切になります。

豆知識

糖尿病教室・慢性腎臓病教室のご紹介

食事療法や運動療法等、患者さんの日常生活でご注意いただく情報を外来診療時間内に十分にご理解いただくには限界があります。そこで当院では、次の2つの教室を開催しています。

受講方法

現在当院に入院中・通院中の方は、担当医師へ受講希望を申し出てください。また現在当院に通院中でない方は、かかりつけ医から当院内科外来の該当する担当医(糖尿病教室は糖尿病担当医、慢性腎臓病教室は腎臓病担当医・竹治医師)を紹介していただき、外来受診時に受講希望の旨を申し出てください。

糖尿病教室

糖尿病療養に関する講義(糖尿病の自己管理、食事療法、運動療法について等)を、1年を通じて開催しています。

慢性腎臓病教室

慢性腎臓病療養に関する講義(「慢性腎臓病について」「食事療法の実際」等)を、2・6・10月の年間3クール開催しています。最新の開催情報は、当院内科外来や病院ホームページ:腎臓内科「お知らせ」で確認できます。

受講費用

第3回「慢性腎臓病の食事療法の実際【総論】」のみ集団栄養指導料として徴収しますので、診察券をお持ちください。1割負担の方は80円、3割負担の方は240円等です(平成30年6月現在)。

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